世界的名著「7つの習慣」のまとめブログです。今回は第5の習慣「まず、理解に徹し、そして理解される」です。
あなたはこんな経験ありませんか?
・部下が言うことを聞いてくれない。
・子どもが何を考えているのかわからない。
・クライアントの言うことが理解できない。
・パートナーに気を使ってしまう。
・社員が何も言わず辞めていく。
これらはすべて、日頃のコミュニケーション不足からくるものです。本来、これらの関係性は話し合いの中で見つける「Win-Win」で解決できるものです。
では、Win-Winとは具体的にどのように関係性を作っていけば生まれるのでしょう?
Win-Winへの最初の1歩は?
それが、第5の習慣のお題である「まず、理解に徹し、そして理解される」です。つまり、Win-Winはまずは何を置いても、相手を「理解」することから始めましょう!ということです。私たちは、どうしても自分の経験値からくる視点で、周りを見てしまいます。7つの習慣の最初にでてきた「パラダイム(思い込み・考え方)」ですね。
でも、当たり前ですが、自分以外の人は自分とは違います。
・部下が言うことを聞いてくれないのは、あなたが部下の気持ちを理解していないからです。
・子どもが何を考えているかわからないのは、あなたが子どもの考えを聞いて理解しようとしないからです。
・クライアントの言うことが理解できないのは、そのまんまですね。クライアントを理解しようとしていないからです。
・パートナーに気を使ってしまうのは、パートナーを理解しようとせず、嫌われたくないという自分の思いだけで合わせてしまうからです。
・社員が何も言わず辞めていくのは、あなたに話してもどうせ理解してもらえないと、社員が思っているからです。
Win-Winという答えを見つけようと思うのであれば、私たちはまず相手を理解することから始めなければなりません。それが、最初の1歩です。
徹底的な傾聴
では、理解とはなんでしょうか?あなたは大切な人のことを、理解していますか?あなたの経験値の視点で見ていることは理解とは言えません。
私は、1年位前まで10代の専門学校生たちにパソコンを教えていました。その当時、ものすごくよく聞かれたことがあります。それは、「私たち、これ(PCスキル)やって意味ある?」という質問です。私の答えはいつも、「あるよっ!社会人になってパソコン使わなくても、頑張ったことは必ず役に立つから!」でした。で、学生が納得したかと言うと、当然、納得なんてしていません。こいつに話してもしょうがない!という顔をされるだけです。
これは、私たち大人が子どものことを全く理解していない典型的な例です。どうしたら、この悩み多き若者を理解することができるのでしょうか?それは、「徹底的な傾聴」です。
傾聴ですから、ただ聞くだけではありません。聞き倒します!子どもだけでなく、何も話そうとしない部下や社員でも、クライアント、パートナーや親でも一緒です。理解しようとするのであれば、相手の身になって、相手に感情移入して、傾聴することです。
やってはいけない聞き手の4つのタブー
感情移入して傾聴するためのスキルをお話する前に、やってはいけない聞き手の対応を4つお伝えします。
1.評価する
賛成、もしくは反対する。(それはダメだよ!)
2.探る
自分の視点から質問する。(最近どうなの?)
3.助言する
自分の経験に基づき、助言やアドバイスを与える。(○○したほうがいいよ!)
4.解釈する
自分の動機や行動をもとに相手の動機や行動を捉え、解釈し、説明しようとする。(私があなたくらいの年齢の時は○○だった)
以上の4つは気を付けていないと、日常的にやってしまいがちなタブーです。話し手は話を聞いてもらえていない、という気持ちになって、話すのをやめてしまうこともあります。
これら4つは聞き手の経験値からくるものであり、理解したい相手とは全く関係のないものです。聞き手は自分の経験などは棚の上にでも上げておいて、自分と相手とではパラダイム(思い込み・考え方)が異なるという視点で、相手の話を聞きます。
感情移入する傾聴への4つのステップ
さて、タブーが分かったところで、感情移入して話を聞くスキルを4つのステップでご紹介します。
STEP1.話の中身を繰り返す
話し手:実は仕事が合わなくて、会社を辞めたいんです。
聞き手:仕事が合わなくて、会社を辞めたいんだね。
STEP2.話の中身を自分の言葉に置き換える
話し手:実は仕事が合わなくて、会社を辞めたいんです。
聞き手:そうなんだ。仕事が面白くないんだね。
STEP3.感情を反映する
話し手:実は仕事が合わなくて、会社を辞めたいんです。
聞き手:なんだか、大変そうだね。
STEP4.内容を自分の言葉で言い、同時に感情を反映する
話し手:実は仕事が合わなくて、会社を辞めたいんです。
聞き手:仕事が面白くなくて、なんだか大変そうだね。
本来、傾聴はスキルだけでは成り立ちません。なぜなら、私たちは感情を言葉に乗せて話をしているので、表面的なスキルだけを磨いても、誠意ある理解したいという気持ちがなければ、本当の理解には届かないからです。
また、スキルは必要ですが、スキルだけだと相手の感情に引きずられる、飲み込まれるという可能性もあります。
なので、第1~第3の習慣での自己の確立、主体的であるかどうかが聞き手には重要になってきます。相手のどんな感情に寄り添っても、ブレない自己の軸があることで徹底的に傾聴することができます。
素人は商品を売り、プロは解決を売る
さて、急にビジネス的なタイトルになりましたが、主体的である聞き手が、感情移入する傾聴へのステップ4のスキルまで到達したら、その後、どうなるかはぜひ!あなたの周りの人間関係で体験してみてください。
タブーも思い出してくださいね!評価も助言もいりません。仕事が合わなくて会社を辞めたい話し手は、自分で答えを持っています。聞き手であるあなたは、その思いをただ理解しようと感情移入して、スキルを使い聞くだけです。確実に言えるのは、どんな結論になっても、聞き手と話し手との間には、思いもしない相互依存の関係が構築され、深い相互理解のコミュニケーションが体験できるということです。
営業にも同じことが言えます。優秀な営業マンは、まず、顧客の関心や欲求、状況を理解しようと試みます。ですが、素人は、というか優秀な営業マン以外の普通の営業マンは、商品を売ることに必死です。顧客理解が必要だとは思いもしません。
そもそも、ビジネスとはWin-Winでしか成り立ちません。売り手は、お金をいただいて幸せ。買い手は価値(問題解決)を得て幸せ。ですから、買い手の「価値」はなんなのか?つまり、買い手に対する理解がないと、ビジネスとして成り立たないのです。
理解されるには
Win-Winを成立させるには、まずあなたが理解することが大切です。次に、相手に理解されることです。理解されるにはどうしたらいいでしょう?
相手を理解するには、あなたが感情移入の傾聴をする「思いやり」が必要でした。反対に、あなたが理解されるには、あなた自身の意見をしっかり持ってプレゼン(主張)することです。これには「勇気」が必要になります。
理解される順序を、本書ではギリシャ哲学の「エトス、パトス、ロゴス」の順序で説明しています。
1.エトス→個人の信頼性(あなたの誠実さや信頼性)
2.パトス→感情移入(相手の感情的側面の理解)
3.ロゴス→理論(プレゼンテーションの理論展開)
つまり、人格を磨き、人間関係において相手を理解して、はじめて自分の主張であるプレゼンテーションの準備ができるということです。
ですが、私たちは、前述の普通の営業マン同様、エトスとパトスを考慮せず、飛び越えていきなりロゴスを行おうとしてしまいがちです。相手を十分に理解すると、相手には理解してもらえた満足感と、あなたに対する信頼が生まれます。そのうえで、あなた自身の考えを、明確に具体的に相手にプレゼンテーションします。
相手にはあなたに対する信頼がありますから、あなたの話を受け入れる準備が整っている状態です。営業であれば、あなたの商品・サービスの説明をする適切な所ですね。もちろん、購入する、しないは相手の自由です。でも、確実に相互依存の関係は構築されます。
第4の習慣で出てきた、Win-Winをお互いが積極的に考え、時にはNo Dealを選択したとしても、お互いが相互理解を深める関係として今後もつながっていくでしょう。
まとめ
相手を理解するということは、それが子どもであっても大人であっても、時として忍耐のいることです。つい、追求したくなったり、口を挟みたくなったり、自分の意見を押し付けたりしてしまいます。何か言いたくなる気持ちを抑えて、忍耐強く相手の話を「理解したい」という気持ちで聞いてみてください。
もしかしたら、何も言ってくれないこともあるかもしれません。ですが、感情移入して理解したいという思いは、相手が無反応だからと言って「できない」というものではありません。常に理解したいという気持ちを持ち、自分の経験値からの視点をやめて、感情移入して接することができれば、それが本当のWin-Winの関係が築ける第1歩になります。