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コンサルハウスHaluno マーケティングアドバイザー

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感情を刺激する売り方

先日、Facebookのお友達が、面白い記事を紹介していました。2016年の記事なので、ちょっと古いんですが、「IQ160以上しか理解できない絵本」が売れているという内容です。

アマゾンで探してみたんですけどなくて、今となっては、記事にある出版社もあるのか?ないのか?微妙な幻の絵本です。2016年9月の時点で18刷30万部。全国の書店から注文が殺到しており、その後50万部の増版を決めたそうです。で、結局どうなったのかは調べてもわかりませんでしたが、売り方がなるほど!だったので、ご紹介します。

多くの知識人の心を刺激した解説

この幻の絵本は、さらにさかのぼること8年の2008年ごろ出版され、38部しか売れなかった絶版作品。作者が「恥ずかしい」とすべての権利を出版社に譲ったそうです。当時の出版担当者は、次のような解説をつけて再度、出版しました。

「物語の本当の意味が分かるには「秀才」とされる知能指数160以上が必要になる」

対象年齢3歳以上の絵本が、この解説の一文で、有名書評論家から高く評価され、全国紙の書評委員は「大きな物語が喪失した現代における物語の再構築」「共生思想の最先端」などと好意的な書評を掲載。アマゾンでも平均評価4.5点、感動レビューが寄せられたそうです。

その一方で、「ただの幼児向け絵本」という低い評価をした人は、幼児程度の理解力と批判が寄せられたとか。

人は感情でものを買う

なぜ、対象年齢3歳以上の絵本が、これほどまで話題になったのでしょうか?それは、人の感情を上手く刺激したからです。

人は、感情でものを買います。これは、通常価格の日用必需品以外であればほぼ、すべてに当てはまります。例えばトイレットペーパーでも、通常価格のものは必要だから買うとなりますが、高価なトイレットペーパーであれば感情が伴います。

これは私のことですが、自宅でアロマサロンをやっていた頃は、誰でもわかるワンランク上の肌触りのいいトイレットペーパーを購入していました。白状するとお客さまに気持ちよく使ってもらうためというより、「あー、ここ安いの使ってる!」って思われたくないという気持ちの方が強かったです。

これが、人が持つ感情の中でも、購買の動機になるひとつ「虚栄心」です。

購買の動機になる感情には、プラスもマイナスもあります。好奇心、自己満足、コンプレックス、プライド、情熱、罪悪感、思いやりなど、まだまだあります。

トイレットペーパーも肌の弱いこどものために、肌触りの良い高級なものを買うのであれば、「思いやり」や「愛情」ですよね。そんな風に、同じものでも買う時の動機になる感情は様々です。

強い動機になる2つの感情

この購買の動機になる感情の中でも、強い動機になる感情が2つあります。2つだけではないのですが、強力でよく使われるものを2つあげると、「虚栄心」と「恐怖」です。

【虚栄心】=自分を実際よりも大きく見せようとする心。見栄を張ることです。
【恐 怖】=これは、状態に対して感じる恐怖(地震とか襲われるとか)もありますが、人からの評価に対する恐怖もあります。

つまり、どちらも「バカにされたくない」「下に見られたくない」「仲間外れにされたくない」というような、周りからどう見られているか、どう思われているか、という思いからくる感情です。人は誰でも多かれ少なかれ、よく見られたいという気持ちがあります。

見栄を張るポイントは様々です。例えば私だったら、先ほどのIQ160以上しか理解できない絵本は、IQは平均より低いと思っているので刺激されませんが、トイレットペーパーは見栄を張りたいポイントでした 笑。

幻のIQ160絵本は、本の書評をするような知識人、頭のいい人たちの「虚栄心」と「恐怖」を見事に刺激したいい例です。このIQ160以上を仕掛けた出版担当者の思惑は、物語が単純であればあるほど、知識人は自分の専門に絡めて勝手に深読みしてくれる。その上「IQ160 以上」とすれば、褒めるしかない。というようなことを言っていました。

この絵本の隠れた本当の理解ができなければ、バカにされるんじゃないか?そして、一般人もつられて、言われてみれば確かに深い!感動だ!と、レビューする流れです。

「虚栄心」と「恐怖」はどちらかというと、あまり表には出ない感情です。ですが、誰もが強く深層に隠している感情でもあります。もしかしたら、もしかしたらですよ、先に出した例の子どもの敏感肌のための親の愛情トイレットペーパーも、子どもを思いやり大切に育てているいい親でいたい、という自己顕示欲を満たす感情が、深層心理かもしれません。

お客さまの感情を発見する

でも、消費者の深層の感情なんて、そう簡単にわかるものではありません。聞いても教えてくれませんし、もしかしたら、本人でさえ気づいていないかもしれません。そんな時は、「だから何?」という自問で深堀をしてみることをおススメします。
例えば肌触りのいい高級トイレットペーパー。
だから何?
↓ ↓ ↓
肌触りがいいから、みんな気持ちよく使ってくれる。
だから何?
↓ ↓ ↓
みんな気持ちよく使ってくれるから、細かいところまで気が利くセラピストと思ってもらえる。(ショボいって思われたくない)
というような感じです。

あなたの扱っている商品・サービスを欲するお客さまには、どんな感情があるのでしょうか?

まとめ

幻のIQ160絵本の売り出し方は、個人的には倫理的にどうかと思いますが、消費者の感情を確実に刺激していました。だから売れたわけですね。多くの感情があり、様々な刺激のポイントがあります。ですが突き詰めると、人が行動する源泉はこれにつきると、あるコンサルタントさんが言っていました。

「人は痛みを避けて、快楽を求める」

あなたの商品・サービスは、どんな感情で痛みを避けて快楽を求めるものでしょうか?ぜひ!見つけてビジネスを発展させてください。